特定技能の自社支援で違反になるケースとは?よくあるミスと対処法を解説

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  1. はじめに|「ちゃんとやっているつもり」が一番危ない
  2. 結論|自社支援の「うっかり違反」は思っているより身近に起きている
  3. 特定技能の「自社支援」とは?基本をおさらい
    1. 登録支援機関との違い
    2. 自社支援ができる要件(①②③を満たすこと)
      1. 要件①:過去2年以内に、就労系のビザで働く外国人の雇用実績があること
      2. 要件②:支援責任者・支援担当者を選任していること
      3. 要件③:支援計画を適正に実施できる体制があること
    3. 10項目の義務的支援とは
  4. こんな企業は危ない|違反ケース別解説
    1. 違反になるケース
      1. ケース①:定期報告を出し忘れた・遅れた
      2. ケース②:面談の記録を残していなかった
      3. ケース③:相談窓口を設けていなかった
      4. ケース④:支援担当者が退職して空白期間が生じた
      5. ケース⑤:支援計画と実態が乖離していた
    2. 違反にならないケース
    3. よくある誤解
      1. 誤解①:「登録支援機関に委託したら、あとは何もしなくていい」
      2. 誤解②:「書類は最初に一度作ればOK」
      3. 誤解③:「外国人本人が問題ないと言っているから大丈夫」
      4. 誤解④:「社内で通訳人材を雇用しなければいけない」
  5. 注意点・リスク|「知らなかった」では取り返しがつかない
    1. リスク①:今後の外国人受け入れが停止になる恐れがある
    2. リスク②:企業名の公表・行政処分
    3. リスク③:「現場レベルでは問題なかった」が通じない
    4. リスク④:担当者が辞めた瞬間にリスクが顕在化する
  6. まとめ|自社支援は「選んだ瞬間から責任が始まる」
  7. ご相談ください|自社支援の不安、一人で抱えないでください

はじめに|「ちゃんとやっているつもり」が一番危ない

「特定技能外国人を採用したいけど、登録支援機関に頼まなくても自社でできると聞いた。」

そう考えて自社支援を選んだ経営者の方は少なくありません。確かに、自社支援は登録支援機関への委託費用が不要になるため、コスト面では魅力的な選択肢です。

でも、こんな不安を感じたことはありませんか?

支援義務が10項目もあるって聞いたけど、全部ちゃんとやれてるかな…
定期報告って、何をどこに出せばいいんだろう?
担当者が辞めたとき、引継ぎができていなかったかもしれない…
「違反」になったらどうなるの?外国人を解雇しないといけないの?

こうした不安を感じているなら、ぜひこの記事を最後までお読みください。

特定技能の自社支援には、知らなかったでは済まされない義務が数多くあります。違反になるパターンを正しく理解し、自社の対応を見直すきっかけにしていただければ幸いです。

結論|自社支援の「うっかり違反」は思っているより身近に起きている

最初に結論をお伝えします。

特定技能の自社支援における違反は、悪意のある企業だけに起きるわけではありません。

「ちゃんとやっているつもり」の企業が、書類の不備・報告の遅延・担当者不在などの理由で行政から指導を受けるケースが後を絶たないのが現実です。

違反の重さによっては、行政指導にとどまらず、改善命令、さらには特定技能外国人の在留資格の取消しや、企業自体が特定技能の受入れ機関として認められなくなる事態にまで発展します。

自社支援を選ぶこと自体は問題ありません。ただ、自社支援を選ぶ以上は「支援義務の全項目を、継続的に、記録を残しながら実施する」という責任を負うことを、改めて認識しておく必要があります。

特定技能の「自社支援」とは?基本をおさらい

登録支援機関との違い

特定技能外国人を受け入れる際は、「支援計画」という支援に関する計画を作成し10項目の義務的支援を実施する必要があります。

この支援業務を外部に委託する先が「登録支援機関」です。はじめて特定技能外国人を受け入れる会社は、登録支援機関に委託をするのがオススメです。ただし、一定の要件を満たす企業は、登録支援機関に委託せず、自社だけで支援を行うことが認められています。これが「自社支援」です。

自社支援ができる要件(①②③を満たすこと)

自社支援を行うには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

要件①:過去2年以内に、就労系のビザで働く外国人の雇用実績があること

具体的には、過去2年以内に「特定技能外国人または技能実習生を受け入れた経験」もしくは「中長期在留外国人(就労資格のみ)を雇用した経験」があることが求められます。つまり、外国人雇用の経験がゼロの企業は、原則として自社支援はできません。(過去2年間に就労ビザで在留する外国人の生活相談業務を担当したことのある人を支援責任者・支援担当者に専任できる場合は要件①は満たさなくてOKです)また外国人を雇用したことがあっても、留学生や日本人配偶者等など身分系のビザだった場合は原則として自社支援はできません。

要件②:支援責任者・支援担当者を選任していること

支援責任者は支援全体を統括する立場の人物、支援担当者は実際の支援業務を担う担当者です。支援責任者と支援担当者は同一人物が兼任しても問題ありません。また役員の配偶者や2親等内の親族はなれないので注意が必要です。

要件③:支援計画を適正に実施できる体制があること

外国人が母国語で相談できる体制があること、外国人の支援に中立的な立場であること(例:外国人本人の上司が支援担当者を兼ねることは不可)などが求められます。総務や人事の方がなるケースが多いです。

10項目の義務的支援とは

自社支援では、以下の10項目をすべて実施しなければなりません。

  1. 事前ガイダンス(入国前に日本での生活・仕事について説明)
  2. 出入国時の送迎
  3. 住居確保・生活に必要な契約(銀行口座開設や携帯電話の契約など)のサポート
  4. 生活オリエンテーション(生活ルール・マナーの説明)
  5. 日本語学習機会の提供
  6. 相談・苦情対応(外国語での対応が必要)
  7. 日本人との交流促進(人員整理等の場合)
  8. 転職支援(特定技能1号の雇用契約終了時)
  9. 定期的な面談(3か月に1回以上)
  10. 転入届などの行政手続のサポート

これらすべてを「実施した記録」として残すことが義務づけられています。

こんな企業は危ない|違反ケース別解説

違反になるケース

ケース①:定期報告を出し忘れた・遅れた

受入れ機関は、入国管理局(出入国在留管理庁)に対して1年ごとに「定期報告」を提出する義務があります。この報告を期限内に提出しなかった場合、それだけで「支援義務の不履行」として行政指導の対象になります。「忙しかった」「担当者が気づかなかった」という理由は一切通りません。

ケース②:面談の記録を残していなかった

3か月に1回以上の定期面談は義務です。しかし「口頭でやり取りしていた」「LINEでやり取りしていた」だけでは証拠として不十分です。面談の日時・内容・出席者を記録した書面を保管していない場合、面談を実施したとはみなされないことがあります。

ケース③:相談窓口を設けていなかった

外国人が「日常生活や業務上の悩みを、母国語で相談できる体制」を整えることは義務です。担当者が日本語しか話せず、外国人が相談できない状態が続いていた場合、義務違反と判断されます。

ケース④:支援担当者が退職して空白期間が生じた

支援担当者が退職・異動した際に、後任を選任せずに支援業務が止まった状態が続いた場合、これも義務違反です。担当者の変更は、14日以内に届け出る義務もあります。

ケース⑤:支援計画と実態が乖離していた

支援計画に「月1回、生活相談を実施する」と書いておきながら、実際には一度も実施していなかった場合、計画と実態の乖離として指摘されます。計画に書いた内容は、必ず実行・記録する必要があります。

違反にならないケース

以下のような場合は、必ずしも即座に違反とはなりません。

  • 報告期限を過ぎた直後に、自主的に出入国在留管理庁へ連絡し、速やかに提出した場合
  • 担当者が退職したが、2週間以内に後任を選任し、変更届を適切に提出した場合
  • 天災や急病などやむを得ない事情があり、事前または事後に理由を説明した場合

ただし、いずれも「事後の対応が適切であった」という前提があります。放置・隠ぺいは絶対にNGです。

よくある誤解

誤解①:「登録支援機関に委託したら、あとは何もしなくていい」

委託した場合でも、受入れ機関としての最終責任は企業側にあります。登録支援機関が適切に支援しているか確認する義務もあります。「全部任せているから知りません」は通用しません。

誤解②:「書類は最初に一度作ればOK」

支援記録・報告書類は継続的に更新・提出が必要です。1年間放置していた、という事態は違反の典型例です。

誤解③:「外国人本人が問題ないと言っているから大丈夫」

外国人が「問題ない」と言っていても、支援義務の記録が残っていなければ、客観的には義務不履行とみなされます。記録が全てです。

誤解④:「社内で通訳人材を雇用しなければいけない」

必要なときに外部の通訳に委託できる体制があれば、自社で通訳を雇用する必要はありません。

注意点・リスク|「知らなかった」では取り返しがつかない

ここからは、特に注意が必要なリスクをお伝えします。正直に言うと、以下のようなケースは決して珍しくありません。

リスク①:今後の外国人受け入れが停止になる恐れがある

支援義務を怠った場合、今後の特定技能外国人の受け入れが一定期間停止になる恐れがあります。

リスク②:企業名の公表・行政処分

出入国在留管理庁は、義務違反が繰り返された場合や悪質と判断した場合、企業名を公表することがあります。採用活動や取引先との信頼関係に深刻なダメージを与えます。

リスク③:「現場レベルでは問題なかった」が通じない

現場では外国人スタッフとの関係は良好だったとしても、管理部門が支援記録の作成を後回しにし続けた結果、調査の際に「支援が実施されていない」とみなされることも。現場の関係が良くても、書類・記録がなければ「やっていない」と判断されます。

リスク④:担当者が辞めた瞬間にリスクが顕在化する

「特定技能のことは全部あの担当者に任せていた」という企業でよく起きるのが、その担当者の退職と同時に支援業務が止まってしまうケースです。支援の仕組みを「属人化」させてしまうと、担当者が抜けた瞬間に義務不履行状態になります。仕組み・マニュアル・共有体制の整備が不可欠です。

まとめ|自社支援は「選んだ瞬間から責任が始まる」

特定技能の自社支援について、ここまでお伝えしてきた内容を整理します。

自社支援は、登録支援機関への委託費用を抑えられる有効な選択肢です。しかし、それは「支援の責任をすべて自社で負う」ということと同義です。

  • 10項目の義務的支援をすべて実施する
  • 実施した内容を記録として残す
  • 1年ごとに定期報告を提出する
  • 担当者が変わってもスムーズに引き継げる体制を整える

これらを継続的に実施できている企業にとっては、自社支援はコスト効率の良い選択です。一方で、管理体制に不安がある企業が安易に自社支援を選ぶと、「うっかり違反」が積み重なり、深刻な事態を招くリスクがあります。「やっているつもり」ではなく、「証拠として残っている」状態を作ることが、自社支援における最大のポイントです。

ご相談ください|自社支援の不安、一人で抱えないでください

特定技能の自社支援における義務や違反リスクは、個別の状況によって判断が異なります。不安な方は専門家にご相談ください。

  • 「自社は今、義務を正しく果たせているか確認したい」
  • 「担当者が退職したばかりで、引継ぎが不安」
  • 「定期報告の出し方がよくわからない」
  • 「自社支援か委託か、どちらが自社に向いているか迷っている」

アンドレ行政書士事務所では、「特定技能自社支援サポート(月次顧問)」として企業様をサポートしています。

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  • 定期報告・随時報告書類の作成代行
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「書類を自分たちで作れるか不安」「何かあったときに相談できる専門家がほしい」という企業様に特に選んでいただいています。不安な方は、まずはお気軽にご相談ください。自社の状況を伺った上で、最適な対応策をご提案します。

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    代表行政書士 アンドレアス茉里名写真

    この記事の監修者

    アンドレアス茉里名代表行政書士

    企業の人手不足解消を目指して、技人国ビザや特定技能ビザなどの外国人雇用、補助金を専門とする行政書士。外国人雇用、補助金を使った業務効率化ツール導入を通じて企業ごとに最も効率的に人手不足解消ができるオーダーメイドプログラムを提供。